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コラム・読み物

国際分散投資では避けて通ることのできない「為替変動リスク」について考えてみます。

為替変動リスクを考える

はじめに

今回は、為替変動リスクについてお伝えしたいと思います。
投資を考える上では、分散投資は避けて通れないものです。楽ラップの資産配分を考える上でも、国内資産と海外資産を組み合わせた分散投資を実践しています。
しかし、海外資産に投資を行うということは為替変動は避けて通れません。日本の投資家が日本円で投資を行う際にこの為替変動をいかにコントロールするかが重要といえます。
今回は、楽ラップではどのようにこの為替変動をコントロールしているかをお伝えします。

円高・円安。事前に予測は出来るのか?

日本の投資家が日本円で海外資産に投資を行う際、「円安」になればプラスに作用しますが、「円高」はマイナス要因です。事前に予測できればいいのですが、難しいのが現実です。なぜでしょうか?まず、為替を変動させる要因から考えて見ましょう。
一般的に為替が変動する要因として以下があげられます。

為替を変動させる要因の一例

要因 説明 日本の状況
物価 購買力平価ともいわれ、異なる通貨間でのものの値段は長期的には同じ価値となる。
そのため、物価上昇率が高い国の通貨は下落し、低い国の通貨は上昇する。
物価上昇率は現状は低水準だが今後は上昇の可能性も
経済成長率 高い経済成長を遂げている国へ投資等を通じて資金が流入することから、
経済成長率の高い国の通貨は上昇する。
新興国と比べると低成長
金利/金融政策 お金は、低金利通貨から高金利通貨に流れることから、高金利通貨は上昇する。 日銀は低金利政策を持続
経常収支 経常収支が黒字ということは、その国にお金が流れていることから通貨は上昇する。
一方経常収支が赤字の場合は通貨は下落する。
経常収支は黒字

これらは比較的予想が可能なものと思われます。しかし、実際には為替を予測するのは非常に難しいのが現実です。なぜでしょうか?
グローバル化が進む今日、為替を変動させる要因はより複雑化しているからです。
たとえば、紛争やテロ等の地政学リスクが高まると、安全資産と考えられている日本円に資金が流入し、円高に進みます。先日のシリアや北朝鮮情勢が緊迫化したときには、円高に進みました。
また、海外の政治や経済情勢も為替に影響を与えます。アメリカやフランスの大統領選前後で為替は大きく変動しました。
それ以外にも、格付け機関による格付けの変更(国の信用力)、政府や金融関係者の発言など数えるときりがないかもしれません。
つまり、為替を予想することは非常に困難なことであり、楽ラップに投資をしているお客様の目的である中長期的な資産形成にあたっては、為替のような予測が難しく不確定な要素は出来れば減らしたいものです。

変更後の資産配分について

実際の為替の動きを見てみましょう。
過去5年の米ドル/円の動きを見ると、全体的には円安基調ですが、この間、欧州債務危機やチャイナショック、シリア・北朝鮮・イスラム国等の問題、米仏における大統領選など、不確実要素により為替は大きく変動しています。この5年間だけ見ても、米ドル/円は46円強動いています。また、同期間のリスク/リターン(年率)で見ると6.51%のリターンに対して、リスクは9.79%となります。米国株は同期間のリターン(11.27%)、リスク(10.15%)となっており、1リスクあたりのリターンを見ると、米ドル/円が0.66なのに対し、米国株は1.11となっています。つまり、米ドル/円はリスクに比べリターンが低いことがいえます。
こう考えると、効率的なリターンの獲得にあたっては為替の影響を低減したほうが良いといえるかも知れません。

過去5年の米ドル/円の動き 2012/4~2017/4、月次

過去5年の米ドル/円の動き

出所:Bloombergのデータを基に楽天証券作成。為替は、三菱東京UFJ銀行算出のAM10:00の仲値(TTM)を使用

楽ラップでは為替変動の影響をコントロールしてるのか?

楽ラップの運用ではこの為替変動の影響をどのようにコントロールしているのでしょうか?
外貨建て資産(外国株式や外国債券)に投資をする際、一部を為替ヘッジ付資産に投資することで、為替変動リスクの低減を行っています。
下のグラフは、各運用コースにおける円建て資産、外貨建て資産(為替ヘッジ付、なし)の比率です。

楽ラップの基本資産比率

楽ラップの基本資産比率

ご覧いただくとお分かりの通り、楽ラップでは外貨建て資産については為替ヘッジ付のファンドの比率を高めとすることで、為替変動リスクの低減を図り、資産の成長によるリターンの獲得を重視した運用を行っています。
円安局面では、為替ヘッジを行わないほうがよりリターンは獲得できますが、前述の通り、いつ円安になるかを予測するのは難しいため、為替変動リスクの低減を図っています。
しかし、為替ヘッジを行うにあたってはヘッジコスト(2通貨間の金利差)がかかります。現状では、日、米、欧とも過去と比べて低金利の状況にあることから、ヘッジコストも低水準にあります。ただし、足元では米国金利が上昇基調にあることから、為替ヘッジ付資産の比率については、リターンとヘッジコストをチェックし、必要に応じて投資比率を見直してまいります。
今後も、市場動向を注視しつつ、リターンの獲得を図ってまいります。

  • 上記は、2017年4月末時点の情報を基に作成しています。今後、市場動向等によっては上記のような運用とならない場合があります。
楽ラップのリスクと費用について

楽天証券ラップサービスは、国内投資信託および外国投資信託等を主な投資対象として運用を行うため、投資元本は保証されるものではなく、これを割り込むことがあります。
また、お客様には運用にかかる費用等をご負担いただきます。費用等には、直接ご負担いただく費用(投資顧問料(投資一任フィー)及び管理手数料(ラップフィー))と、間接的にご負担いただく費用(投資対象に係る費用)があります。
楽天証券ラップサービスの手数料体系には固定報酬型と成功報酬併用型があり、固定報酬型では投資顧問料(投資一任フィー)と運用管理手数料(ラップフィー)の合計が最大で運用資産の0.715%(税込・年率)、成功報酬併用型では投資顧問料(投資一任フィー)と運用管理手数料(ラップフィー)の合計が最大で運用資産の0.605%(税込・年率)+運用益の積み上げ額の5.50%(税込)となります。このほかに間接的にご負担いただく費用は、投資信託では運用管理費用として、信託報酬 (最大で信託財産の0.330%(概算)(税込・年率)。但し、楽天証券ラップサービスで投資する投資信託が投資対象とする他の投資信託の信託報酬等を加えた実質的な運用管理費用は最大で信託財産の0.682%(概算)(税込・年率)です。)、信託財産留保額(最大で信託財産の0.15%(概算))、その他費用をご負担いただきます。
これらの費用の合計額および上限額については、資産配分比率、運用状況、運用実績等に応じて異なるため、具体的な金額・計算方法を記載することができません。詳しくは、契約締結前交付書面および目論見書等でご確認ください。なお、楽天証券ラップサービスにはクーリング・オフ制度は適用されません。
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