楽ラップの活用法④
ロボアドを使ったコア・サテライト戦略(その2)
前回の記事「楽ラップの活用法③ ~ ロボアドを使ったコア・サテライト戦略(その1)」で、投資初心者の方向けにおすすめしたい「ロボアドを使ったコア・サテライト戦略」について説明をしました。今回はその続きとして、投資初心者には「コアは楽ラップ、サテライトは株式インデックスファンド」の組み合わせが実践しやすい理由を説明します。
運用担当者からお伝えしたいこと
- 投資初心者がロボアドや投資信託を使い、コア・サテライト戦略の投資をおこなう場合、「コアは楽ラップ、サテライトは株式インデックスファンド」が現実的かつ簡単です。
- (コア)ロボアドである楽ラップでは、質問に回答することで推奨の運用コースが提示されます。投資初心者にとって、どの商品に投資すればよいか分からない、商品を選べないという投資実行における大きなハードルをクリアできます。この点において、楽ラップは自分で投資対象を選ぶ必要があるバランスファンドと比較して、投資初心者には投資しやすいと言えるでしょう。
- (サテライト)サテライト部分は長期で積極的にリスクを取るべきポジションです。そのため、ロボアドに投資するのであれば、株式と同程度のリスクが高い運用コースを選択すべきです。しかし、質問への回答によって投資家のリスク許容度に適した運用コースが推奨されるため、推奨コースを無視して選ぶ必要があり、投資初心者には難しいと言えるでしょう。そのため、シンプルにコストの安い株式インデックスファンドを投資対象とすることが現実的です。
1.前回のおさらい ~ コア・サテライト戦略の投資対象
下表1は、前回の記事で説明したもので、筆者が考える投資初心者が現実的に実践可能なコア・サテライト戦略の投資対象です。これまでの『楽ラップ活用法シリーズ』(※)で説明してきた代表的なロボアド各社(A社、B社、C社、D社、楽ラップ)および投資信託を投資対象とした場合の「コア」と「サテライト」の投資対象候補をまとめたものです。
※コラム:楽ラップ活用法シリーズ
表1:コア・サテライト戦略の投資対象
表中の各社ロボアドバイザーの分類は、各社の公表データおよびさまざまな資産との相関データ等から楽天証券投資運用室で分析を行った結果であり、これまでの『楽ラップ活用法シリーズ』の中で分類について説明しています。下表2が要点をまとめたものです。それぞれの特性から、A社、B社、C社、D社は積極運用型ロボアドに、楽ラップはバランス運用型ロボアドに分類しています。分類の理由や分析については、『楽ラップ活用法シリーズ①~③』でご説明しておりますのでご覧ください。
表2 各社ロボアドバイザーの特性のまとめ
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| 積極運用型 | バランス運用型 | ||
|---|---|---|---|
| 各社ロボアドバイザー | A社、B社 | C社、D社 | 楽ラップ |
| ポートフォリオの構成 | リスク性資産のみ (※保有する債券もリスク性資産) |
安全資産も保有するが、 リスク性資産が多い |
リスク性資産、安全資産を バランスを取りながら保有 |
| リスク・リターン | ハイリスク・ハイリターン (リターンの変動大きい) |
ハイリスク・ハイリターン (リターンの変動大きい) |
ミドルリスク・ミドルリターン (リターンの変動小さい) |
| 株式・債券との連動性 | 株式と高い連動性、 債券とは反対の値動き |
株式と高い連動性、 債券とは連動性なし |
株式と高い連動性、 債券とも連動性あり |
| リターンの追求 | アグレッシブに 高いリターンを追求 |
アグレッシブに 高いリターンを追求 |
全天候型で 安定したリターンを追求 |
| 価格変動(値動き)の抑制 | 下落リスクを厭わず、値動きの抑制よりリターン追求を優先 | 下落リスクを厭わず、値動きの抑制よりリターン追求を優先 | 市場環境に関わらず、値動きの抑制を重視、リターン追求と下落リスク抑制のバランスを重視 |
- B社、C社はポートフォリオの構成に不明な部分があり、上記「ポートフォリオの構成」の部分については、さまざまな資産との相関データ等(※データ期間:2016年7月~2024年12月の月次ベース)からの推測に基づき記載しています。
2.投資初心者には「コアは楽ラップ、サテライトは株式インデックスファンド」が現実的
前回の記事の最後に、「投資初心者の場合は、現実的には『コアは楽ラップ、サテライトは株式インデックスファンド』の選択が(表1の選択肢の中では)最も簡単」と述べましたが、その理由を説明します。
コア
表1で、バランス運用型ロボアドの楽ラップと投資信託のバランスファンドを投資候補に挙げました。要点を比較したものが下表3です。
表3 (バランス運用型ロボアド)楽ラップと(投資信託)バランスファンドの比較
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| (バランス運用型ロボアド) 楽ラップ |
(投資信託) バランスファンド |
|
|---|---|---|
| 運用スタイル | バランス運用 | バランス運用 |
| 投資対象資産 | 株式・債券・リート等の様々な資産 | 株式・債券・リート等の様々な資産 |
| コスト(税込み) | 0.9%未満 | 0.10%未満~2%超 |
| 運用商品(運用コース) の選択 |
質問に回答すると、自動的に 推奨の運用コースが提示される |
顧客が自分で運用商品を探し、 選択する |
- コストは、楽ラップは当社公表データ、バランスファンドは資産運用業協会等で開示されている公募投資信託のバランスファンドの公表データを集計し記載しています。
運用スタイルは、両者ともバランス運用であり、運用スタイルは同じです。コストは税込みで、楽ラップは0.9%未満である一方、バランスファンドは0.10%未満の低いものから2%超の高いものまでと幅広く、さまざまです。
運用成績について比較すると、楽ラップはサービス開始以来の9年間(2016年7月~2025年6月)で、バランスファンドと比較して遜色ありません。リスクリターンの分布で見ると、楽ラップはバランスファンドの中で中位に位置します。詳しくは、「コラム:楽ラップサービス開始来9年間の運用総括」をご覧ください。(※注:運用実績は過去のものであり、将来の成果を示唆・保証するものではありません。)
両者の大きな違いは、運用商品(運用コース)の選択方法です。楽ラップはロボアドバイザーであるため、ネット上で質問に回答していくと、自動的に推奨の運用コースが提示されます。質問は顧客のリスク許容度を測るためのものであり、それに回答することで顧客が許容できるリスクが判定され、それに見合ったリスク水準の運用コースが提示されます。推奨された運用コースを選択するかどうかの最終判断は顧客がおこなう必要がありますが、運用コースは絞り込んでくれます。推奨コースよりもう少しリスクを取りたければ、リスク水準がより高いコースを選択すればよいですし、もう少しリスクを抑えたければ、リスク水準がより低いコースを選択すればよいわけです。
一方、バランスファンドは投資信託であるため、顧客は無数にある多様なファンドの中から投資対象を絞り込み、自身で選択する必要があります。自身で投資関連の本を読んだりネットの情報を見たりして選ぶか、販売会社の営業担当者の意見を参考にして選ぶか、方法はさまざまですが、顧客は自身で商品を選択する必要があります。しかし、自身の許容リスクを把握し、各ファンドのリスク水準を理解した上で、適切な商品を探し出す必要があり、容易ではありません。
運用商品(運用コース)の選択方法の違いは、投資初心者にとって極めて大きなものです。投資経験が少ない方にとって、商品選びは大きなハードルです。「どの商品に投資すればよいか分からない、選べない」という理由で、投資をためらう方は少なくありません。この点を踏まえると、質問に回答することで運用コースを絞り込んでくれるロボアドバイザーである楽ラップは、バランスファンドと比べ、投資初心者には投資しやすいと言えるでしょう。
サテライト
表1で、積極運用型ロボアドのA社、B社、C社、D社と投資信託の株式インデックスファンドを投資候補に挙げました。要点を比較したものが下表4です。
表4 (積極運用型ロボアド)A社、B社、C社、D社と(投資信託)
株式インデックスファンドの比較
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| (積極運用型ロボアド) A社、B社、C社、D社 |
(投資信託) 株式インデックスファンド |
|
|---|---|---|
| 運用スタイル | 積極運用型のバランス運用 | 積極運用 |
| 投資対象資産 | 株式・債券・リート等の様々な資産 | 株式 |
| コスト(税込み) | 0.5%台~1%超 | 0.10%未満~1%超 |
| リスク水準(年率) | 3%~15%程度 | 16%程度 |
- コストは、各社ロボアドバイザーの公表データ、株式インデックスファンドは資産運用業協会等で開示されている公募投資信託の先進国株式(為替ヘッジなし)インデックスファンドの公表データを集計し記載しています。リスク水準は、各社ロボアドバイザーおよび楽ラップが投資対象とするステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの先進国株式(為替ヘッジなし)インデックスファンドの公表リターンデータから計算しています(※データ期間:2016年7月~2025年6月(サービス開始以来9年間)、月次)。
運用スタイルは、(積極運用型ロボアド)A社、B社、C社、D社は、積極運用型のバランス運用です。楽ラップと同じく、株式や債券等の幅広い資産に国際分散投資を行いますが、外貨建て資産の比率が高く、株式等のリスク性資産への連動性が高い一方、円建ての日本債券や先進国債券(為替ヘッジあり)の比率が低いため、安全資産への連動性は非常に低いという特性を持ちます。バランス運用ではありますが、安定性を重視する楽ラップとは異なり、株式に近い特性が強いロボアドバイザーと言えます。一方、投資信託の株式インデックスファンドは、その名のとおり、株式に特化した積極運用を行います。先進国株式中心のインデックス運用を想定しています。ロボアドのA社、B社、C社、D社は株式以外にも投資し、株式インデックスファンドは株式のみに投資する点で異なります。しかし、株式等のリスク性資産への連動性の高さ、安全資産への連動性の低さという特性の面では共通しており、両者ともリスク性資産タイプの積極運用です。
次にコストですが、最近では、株式インデックスファンドでは年率で0.10%を下回るものも多数出てきており、それらはロボアドよりも安いと言えます。
最後にリスク水準ですが、ロボアド各社は3%~15%程度の範囲にあります。これは、ロボアドはリスク水準が異なる複数のコースがあるためです。株式インデックスファンドのリスク水準は16%程度であり、ロボアドの高リスクコースと株式インデックスファンドでは、リスク水準はあまり変わりません。
このように、両者は大きな括りでは積極運用という点では共通しているものの、投資対象資産等の面では違いがあり、横比較でどちらが良い悪いという評価を下すことはできません。そこで、投資初心者が投資をおこなう場合、どちらの方が投資しやすいかという観点で考えてみたいと思います。
ここで、改めてコア・サテライト戦略について考えてみましょう。コアは安定運用のポジションであり、極端なリスクは取らず、「インフレ+アルファ」のリターンを目指す運用です。一方、サテライトは長期で積極的に大きなリスクを取り、高いリターンを目指す運用です。コアではリスクを抑えた運用をする一方で、サテライトでは積極的にリスクを取り、高いリターンを獲得することを目指すのが、コア・サテライト戦略です。つまり、サテライト部分で高いリスクを取らなければ、コア・サテライト戦略は成立しないのです。もしもサテライト部分の投資対象を上記のロボアドにするのであれば、さまざまなリスク水準の運用コースがありますが、株式と同程度のリスクが高い運用コースを選ぶべきです。
ロボアドバイザーの特徴をもう一度思い出してください。質問に回答していけば、自動的に顧客のリスク許容度が測られ、それに見合ったリスク水準の運用コースが推奨提案されます。しかし、サテライトの投資対象選びにおいては、そこに問題があります。推奨されるのは、高リスクや低リスクの運用コースなどさまざまですが、これは純粋に顧客のリスク許容度に基づいた運用コースであり、サテライト部分の投資を前提としていません。サテライト部分としては高リスクの運用コースを選択すべきなのですが、そうではない運用コースが提案されるケースもあります。推奨された運用コースを無視して高リスクの運用コースを選択することも可能ですが、投資初心者にとっては、判断が非常に難しいと言えるでしょう。
それに比べると、投資信託の株式インデックスファンドをサテライトの投資対象とすることは簡単です。先進国株式程度のリスクを想定しているため、先進国株式を中心に投資するファンドの中から、コストの安いものを選べば良いでしょう。
以上より、投資初心者においては、サテライト部分の投資対象として株式インデックスファンドの方が選択しやすいと言えるでしょう。
3.まとめ ~ 現実的なコア・サテライト戦略の投資
これまで3回にわたり、『楽ラップ活用法シリーズ』のコラムを執筆してきました。本稿はその最終回として、投資初心者にとって選択しやすく、現実的なコア・サテライト戦略の投資方法を以下にまとめました。
表5:楽ラップと株式インデックスファンドによるコア・サテライト戦略
- リスク水準は、楽ラップおよび楽ラップが投資対象とするステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの先進国株式(為替ヘッジなし)インデックスファンドの公表リターンデータから計算しています(※データ期間:2016年7月~2025年6月(サービス開始来9年)、月次)。
上記のコア・サテライト戦略ポートフォリオは、投資初心者向けの資金運用方法の一つとしてご紹介しました。
今回で、『楽ラップ活用法シリーズ』のコラムは終了とさせていただきます。
皆様の資産運用の参考となれば幸いです。
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